耐震診断未了建物を東京都が公表
阪神淡路大震災での、倒壊して道路を塞いだビルの写真は衝撃的でした。道路は避難消火活動の生命線で復興への大動脈です。
東京都重要な新幹道路1000キロを指定し、この道路沿い建物の耐震診断を義務化しました。義務化の条例が都議会で可決されたのは偶然にも2011年3月11日で大震災の1時間前でした。
旧耐震建物でも、もし前面道路に向けて建物が倒れたとして、道路幅員12m超なら道路幅員の半分以上ふさぐ建物、幅員が12m以下ならば道路を6m以上ふさぐ建物です。オフィスビルや分譲マンションも対象で、対象棟数5000棟です。
耐震診断は義務です。理由なく耐震診断しなければ建物名公表と最大50万円の罰金です。なお耐震診断は義務でも、耐震改修は努力義務です。
耐震診断を義務とするからには補助金があります。
ビルの耐震診断はだいたい数百万円かかります。所在自治体により補助が違い、また耐震診断費用実額にもよりますが、すべての分譲マンションと延床1万㎡以下の建築物は全額補助、延床1万㎡超の建築物は所有者1/5負担のケースが多いようです。
条例施工から3年経ちましたが、5000棟のうち1割の500棟が未だ耐震診断を受けていません。
東京都は5月29日までに500棟のうち59棟を公表しました(「耐震診断が実施されていない特定特急輸送道路沿道建築物の公表について」で検索)。住所地・接する道路名・建築物構造等が公表されています。
各市町村により診断実施期限が異なるので段階的に公表します。事前に「公表しますよ」と通知し「それらなら診断します」と回答すれば公表見送りです。
当初公表対象は86棟でしたが、この見送りにより公表は59棟になりました。
一部はビルマンション実名が公表されていますが、所有者名が特定できる建物名だと公表されません。つまり所有者の氏名が入ったビル名だと非公表です。
まだ注目されていないこともあり、今のところは公表された建物からの、テナント居住者の退去には至っていないようですが。(週刊ビル経営2015.7.6)