ミラノ五輪の「逆転の金メダル」。チームの成果を決める「感情のOS」とは?
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オリンピックに学ぶ「逆転の金メダル」。チームの成果を決める「感情のOS」とは?
クラスコの清水です。
前回のブログでは、個人の成長を止めてしまう「安定の枠」を飛び越える 一歩先へ踏み出すための「ジャンプのマインド」についてお話ししました。
挑戦への意欲は、誰でも持っているものなので、それを再認識してジャンプすることが世代を問わず大切だと日々感じています。
さて、金沢の街も3月が近づき、桜の蕾が少しずつ膨らみ始める季節になりました。 今年は、かなりの量の雪が降ったので、春の訪れは一頻り嬉しく感じています。
クラスコにとっても現場はまさに繁忙期のど真ん中ですが、 「4月」という大きな節目に向けた準備の時でもあります。
この時期、リーダーやマネージャーの方々、あるいはこれから後輩を迎える若手社員の人たちが抱えるのは、「このチームで、本当に成果を出せるだろうか」という期待と不安ではないでしょうか。
そこで今回は、視点を「個人」から「チーム・組織」へと広げます。テーマは、チームが本来持っている力を自然に引き出すための「感情の整え方」です。
なぜ、高いスキルを持つプロフェッショナルを集めても、どこかギスギスして成果が出ないチームがあるのか。 逆に、一見普通に見える集団が、なぜ心地よいリズムで驚異的な成果を起こし続けることができるのか。
先日行った若手社員向けの研修「TATSUJIN START」での話題 や 私の30年のマネジメント経験から確信した、
「組織のOS」としての感情マネジメントについて、少し書きたいと思います。
1.スキルより「気持ち」が成果を決める?
チームが本来の力を発揮する「感情の整え方」
「優秀な人間を採用したはずなのに、チームがうまく成果が出ない」 「最新のITツールを導入したのに、なぜか生産性が上がらない」
経営やマネジメントの現場で、私たちはつい「技術(スキル)」や「仕組み」に解決策を求めてしまいがちです。
しかし、私はこれまでの経験から、一つの確信を持っています。
チームの成果を最終的に決定づけるのは、最新のスペックを持つ「技術」ではありません!
その技術を使い、しなやかに動かすためのエネルギー源。 すなわち、そこにいる人間たちの「気持ち」です。
どれほど高性能なアプリ(スキル)をインストールしても、 土台となる「OS(気持ち)」が重く、不安定であれば、システムは正常に作動しません。
チームが持てる力を最大限に、かつ持続的に発揮するためには、 まず「気持ち」という土台を整える必要があるのです。
2.成果は「技術」だけではなく「気持ち」で決まる
スポーツの世界を想像してみてください。
技術力や戦術がほぼ互角のチーム同士が対戦する時、またはその差があるチームの戦いにおいて「勝敗を分かつ最後の決め手」は何でしょうか。
それは、その瞬間の「気迫」や「結束力」、そして「この仲間と」という強い意志です。
まさに今、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックが開催され「TEAM JAPAN」が躍進しています!
その源泉は、当然積み重ねてきた技術やフィジカル、 その積み重ねが土台になっていることは確かな事実ですが、
その実力を出せるか? 最後の最後にわずかな差を埋める決定的な力は、「気持ち」の部分だと心から感じます。
フィギュアスケートの「りくりゅうペア」の大逆転の金メダルも、その活躍に後押しされた女子フィギュアの躍進も。
実は、ビジネスも全く同じなのです。
私は研修の中で、若手スタッフたちにこう伝えます。「仕事において最も結果を左右するのは、技術以上に個人やチームの『気持ち』なんだ」と。
たとえ卓越した営業トークや最新のAI活用術を身につけていても、 「本当にお客様の役に立ちたい」という純粋な想いや、 「このチームで目標を達成したい」という気持ちがなければ、その言葉や行動に魂は宿りません。
気持ちは、行動をさらに推進させ、継続させるための「燃料」です。
リーダーがすべきことは、メンバーに技術を教え込むこと以上に、 いかにしてチーム全体の「熱源」を絶やさず、心地よい感情の連鎖を生み出すかにあるのです。
3.「モチベーションは常に一定」という幻想を捨てよ
マネジメントにおいて、リーダーが最も陥りやすい罠があります。
それは、「仕事なのだから、プロとして当然だ」という幻想です。
私たちは感情を持つ生き物です。 だからモチベーションにムラがあるのは、極めて自然なことです。
研修の場でも、後輩を指導する立場になりつつある若手社員が、「相手の結果や行動の浮き沈みに、どう対応すればいいのか」という悩みを聞くことがあります。
私の答えは、「浮き沈みがあるのは当たり前のこと」です。
誰にでも、何をやっても面白くない時や、 自分に自信が持てない日はあります。
リーダーに求められるのは、気持ちや結果、行動の揺れを正そうとすることではなく、「人は揺れ動くものである」という前提に立ち、その波を一緒に乗りこなす視点です。
高いモチベーションを強要しても、メンバーを疲れさせてしまうだけです 。
むしろ、調子が悪い時に「今日はどうしたの?」とさりげなく共感し、 寄り添う姿勢こそが、結果としてチームのパフォーマンスを安定させるのです。

4.非言語のサインを読み解く「観察」と「同調」
では、具体的にどうすればチームの「気持ち」を整えることができるのか。
私が30年かけて磨いてきたのは、 相手の状態を正しく把握する「キャリブレーション(観察)」の意識(技術)です 。
言葉の裏にある「本音」にアンテナを立てる
部下に「最近どう?」と聞き、「大丈夫です、頑張ります」という答えが返ってきたとします。
しかし、その声のトーンがわずかに沈んでいたり、視線が合わなかったり、表情にわずかな疲れが滲んでいないでしょうか。
言葉と、その人の本当の状態が食い違っているケースは多々あります。 本人すら理解や意識ができていない場合も多くあります。
リーダーは、言葉そのものよりも、 こうした「非言語のサイン」にアンテナを立てなければなりません。
「大丈夫」という言葉の裏にある「本当の迷い」をいち早く察知できるか。
この微細な変化に気づく力が、チームに安心感を育みます。
相手の状況やペースに自分のチャンネルを合わせる
変化を察知したら、次は「ペーシング(歩調合わせ)」です。
例えば、繁忙期で忙しく、メンバーが早口になっている時、リーダーまで一緒になってまくし立ててはいけません。
あえて自分の気持ちを抑え、少しゆっくりとしたトーンで話し、チームのペースを整える。
すると、不思議なことにチームも徐々に落ち着きを取り戻し、 本来のパフォーマンスが出せる状態になっていきます。
逆に、相手のテンポがゆっくりで慎重な時は、最初はそのスピードに合わせ、そこから徐々に活気あるペースへと共に歩みを進めていく。
こちらだけがテンポをあげて、「早くついてこい」というのではなく、全体のテンポやリズムに合わせて整え、上げていく。
この小さな歩み寄りの積み重ねが、「この人は自分を理解してくれている」という深い信頼関係を築き、チーム全体の士気を上げていくのです。

5.クラスコ流「心配性」を「強み」に変える文化
感情を整えるとは、弱さを隠すことではありません。むしろ、弱さや不安をチームの力に変えられる組織こそが強いのです。
クラスコには、全社員の行動指針である「8 ACTIONS」があります。
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MAKOTO(誠):誠実に向き合い、信頼を築く
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CONNECT(信頼):一期一会の縁を大切に紡ぐ
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QUEST(探求):現状に満足せず、より良い方法を追い続ける
研修においても印象的な対話がありました。ある若手スタッフが、「自分は心配性で、ミスが怖くてすぐに誰かに相談してしまうのが コンプレックスです」という話をしてくれました。
私はこう思います。 「それは、チームにとって最高の強み」だと。
スタッフの「心配」という感情が、早期の相談というアクションを生む。その結果、上司や先輩は状況を把握でき、チーム全体に安心感が生まれる。
そして何より、大きなトラブルを未然に防ぎ、 お客様の契約の向上にまで結びついているのです。
これはまさに、クラスコの文化が体現されていた瞬間です。
「不安を一人で抱え込まず、早めに共有する」その誠実な姿勢が組織を救い、結果としてメンバー全員が「心地よく」働ける環境を作っているのです。
特定の誰かがスーパーマンである必要はありません。個々の感情を認め合い、それを共通の指針(アクション)へと昇華させていく。
それこそが、私たちが目指す、
「人生を楽しむ人(GO FUN)」を増やすためのチームの姿なのです。
読者への問い:明日の挨拶、どんな「声」で届けますか?
この記事を読んでいる次世代を担う皆様に、一つ提案があります。
明日の朝、出社して最初に出会う仲間に挨拶をする時、相手の目を見て、声のトーンをほんの少し意識してみてください。
相手は元気そうか? それとも少し元気がなさそうか?
その「観察」から、あなたとチームの新しいリズムが始まります。
技術やノウハウは、後からいくらでもアップデートできます。
しかし、チームを動かす温かな感情は、 「あなたがいま、目の前の相手とどう向き合うか」その瞬間の関わりの中でしか生まれません。
春には、また新しい仲間との出会いが生まれます。一人ひとりの個性が健やかに芽吹くような、心地よいチームのリズムを共に創っていきましょう。
未来へのネクストステップ
次回は、「AI(人工知能)」というテーマに少し切り込んでみます。
感情という究極の「人間らしさ」を大切にするクラスコが、 なぜ、最先端のテクノロジー活用に挑み成長を続けているのか?
それは、人間にしかできない価値を最大化し、自分自身の強みを「言語化」するためです。
「AIを『右腕』にし、自身の価値を言語化する」未来の「達人(TATSUJIN)」への道を模索していきます。お楽しみに。
【今回取り上げたクラスコの文化・ナレッジ】
感情のマネジメント:スキルよりも個人の気持ちや心の状態を成果の基点とするマインドセット。
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キャリブレーション(観察):声のトーンや視線から相手の真の状態を読み解く技術。
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ペーシング(同調):相手の呼吸やペースに合わせることで信頼関係を築く技術。
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8 ACTIONS:自律自走し、プロとして行動するためのクラスコグループの共通の行動指針。
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価値の転換:心配性や不安などの感情を、チームの安心感や成果へと変換する文化。



























