入社式で伝えたこと。AI時代に「価値を創る人」になるために必要な3つの視点
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入社式で新入社員に伝えたこと。AI時代に「価値を創る人」になるために必要な3つの視点
2026年4月1日、クラスコグループに10名の新入社員が加わりました。
入社式の会場には、社会人としての第一歩を踏み出す緊張感と、これから始まる未来への期待がありました。表情は少し硬い。しかし、その中にあるまっすぐさや、これから頑張ろうという気持ちは、しっかり伝わってきました。
私は専務として、そしてこの業界で長く現場に立ってきた一人の先輩として、今年の新入社員に伝えたいことを、できるだけ分かりやすく話しました。
結論から言えば、伝えたかったことはひとつです。
今日からは、勉強する人ではなく「価値を創る人」になってほしい。
学生時代は、学ぶことそのものに意味があります。知識を身につけること、理解を深めること、試験で結果を出すこと。それはそれで大切ですし、そこまで積み上げてきた努力には、まず敬意を持っています。
ただ、社会に出ると、その「学んできた力」の意味が変わります。これからは、自分のためだけに勉強するのではなく、その力を使って、目の前のお客様、仲間、会社、地域、業界に対して価値を生み出していくことが求められます。
入社式で私が新入社員に伝えたのは、その切り替えです。
学生の頭から、社会人の頭へ。
知識を持つ人から、価値を創る人へ。
これが、社会人のスタートラインだと思っています。

学生時代の「勉強」を、社会人の「価値創造」に変える
皆さんは、小学校、中学校、高校、大学と、長い時間をかけて勉強してきました。
その中で身につけてきた力は、社会に出た瞬間に無意味になるわけではありません。むしろ逆です。そこが土台になります。
私は入社式でも、「読み・書き・算数」という言葉に触れました。
昔から言われる、とても基本的な言葉です。けれど、これは今のビジネスの現場でも本質は変わりません。むしろ、変化が激しく、情報が溢れ、AIが当たり前になっていく時代だからこそ、こうした基礎力の差がそのまま仕事の差になります。
算数とは、構造で捉え論理的に考える力
仕事で必要な算数は、単なる計算能力ではありません。物事を構造的に捉え、分解し、因果関係を見極め、優先順位をつける力です。
たとえば、売上が下がったとします。そこで「下がった」で終わるのではなく、「なぜ下がったのか」「客数なのか、単価なのか、成約率なのか」「どこを改善すれば変わるのか」と考える。この力が仕事における算数です。
感覚で判断するのではなく、根拠で考える。 何となくではなく、構造で捉える。これは不動産業界でも、管理でも、仲介でも、建築でも、テクノロジーでも、すべての土台になります。
読むとは、相手の言葉の意味と意図を読む力
読むとは、文章を目で追うことではありません。相手の言葉の意味を理解し、その奥にある意図や背景まで汲み取る力です。
現場では、書かれていることだけを読んでいては足りません。お客様は何を不安に感じているのか。何を期待しているのか。この相談の本当の目的は何なのか。上司や先輩がこの依頼を出した意図は何か。そこまで読めるかどうかで、仕事の質は大きく変わります。
仕事ができる人は、文字を読んでいるのではなく、文脈を読んでいます。 ここに差が出ます。
書くとは、自分の考えをわかりやすく構造化し、他者に伝える力
書くとは、単に文章を並べることではありません。自分の考えを整理し、相手が理解し、判断し、動ける形で伝えることです。
何が事実で、何が意見なのか。何を伝えたいのか。なぜそれが必要なのか。どう動いてほしいのか。これを構造化して相手に渡せる人は、組織の中で非常に強いです。
逆に、文章が弱いと、話が長くなり、結論が曖昧になり、責任範囲も不明瞭になります。社内でも社外でも、相手を無駄に迷わせます。
だからこそ、読む力、書く力、算数の力。 これらは、学生時代の基礎学力ではなく、社会人として価値を創るための基礎能力そのものだと私は考えています。
入社式で新入社員に伝えた3つのこと
その上で、今年の入社式では、新入社員に3つのことを伝えました。
これは、クラスコで働くうえでの基本であり、同時に、AI時代に社会人として成長していくために欠かせない視点でもあります。
1. 自覚と意識を持つこと
まず一つ目は、自覚と意識を持つことです。
新入社員は、まだ何もできなくて当たり前です。いきなり大きな成果を出せとも思っていません。
ですが、自分がどんな会社に入ったのか、その会社がどんな信頼の上に成り立っているのか、その自覚は持ってほしいと思っています。
クラスコは、この地域で創業62年。長い年月の中で、先人たちが一つひとつ信頼を積み重ねてきた会社です。地域の中で多くの方に知っていただき、期待を寄せていただけるところまで来たのは、誰か一人の力ではありません。お客様に向き合ってきた先輩たちの積み重ねです。
さらに今は、地域だけではなく、日本の不動産業界の中でもクラスコの名前を知っていただく機会が増えています。現場で頑張る社員一人ひとりの行動が、会社のブランドを作っています。
現在では、石川県内において「クラスコを知らない人はいない」と言っていただけるまでになりました。さらに、全国の不動産会社と共に業界を【 】よくしていくための「TATSUJIN」ネットワーク(https://www.crasco-consul.com/)を展開しており、業界カクシンの一端をになっています。
だから、新入社員の皆さんにも、ただ「就職した」と思うのではなく、この信頼の上に自分は立つのだという意識を持ってほしい。
その自覚がある人は、行動が変わります。挨拶ひとつ、報告ひとつ、任された仕事への向き合い方ひとつが変わる。
そして、自覚は誇りにもつながります。
「この会社で、自分は価値を創る人になる」
そう決めて働く人は、成長のスピードが違います。
2. AIを使いこなせる人になること
二つ目は、AIを使いこなせる人になってほしいということです。
これは今の時代、避けて通れない話です。
私は入社式でも、「時代を乗りこなしていける人が強い」と伝えました。ここは本質だと思っています。
昔は、特定の高度な技術を持っていること自体が大きな強みでした。もちろん今も技術は大切です。ですが、時代の変化は想像以上に速い。昨日まで一万人に一人しかできなかったようなことが、AIの登場によって、一気に「誰でもできること」に近づいていく。そんなことが、もう現実に起きています。
だから、単に技術を持っている人が強いのではありません。
変化する時代の中で、新しい道具を使いこなし、価値の出し方を変えられる人が強い。
これが今の時代です。
AIに使われる側に回るのか、AIを使いこなす側に回るのか。
この差は、これからどんどん大きくなります。
せっかく今まで勉強して積み上げてきた価値も、時代の変化に対応できなければ相対的に下がっていきます。逆に、AIを前提に働き、自分の思考や仕事に組み込める人は、量も、スピードも、質も、一段上がります。
クラスコグループとしても、AIは単なる流行ではありません。業務の効率化だけでなく、新しい価値を生み出すための武器として捉えています。
不動産業界は、昔ながらのやり方が残りやすい業界でもあります。だからこそ、変わる側に立てるかどうかが重要です。
クラスコでは「全ての業務にAIを」という全グループ共通の意識と目標で、全従業員が「AIを使いこなす人」になることを目指しています。
新入社員の皆さんには、「AIがある世界が来る」のを待つのではなく、AIが当たり前にある世界で、自分は何ができるかを考える人になってほしいと思っています。
3. 常に問いを持つこと
三つ目は、常に問いを持つことです。
どれだけAIが進化しても、最後に差を生むのは問いです。
どういう目的でそれをやるのか。なぜ今それが必要なのか。もっと良いやり方はないのか。何を大事にして判断するのか。こうした問いを持てる人は、作業者で終わりません。自分で考え、改善し、価値を創る人になります。
仕事を始めると、先輩から多くのことを教わります。
「これはこうやってください」
「次はこれをお願いします」
そうやって覚えていくことは多いです。ですが、すべての仕事について、その意味や背景や目的まで毎回完璧に説明することは現実的には不可能です。
だからこそ、自分で問いを持つことが重要になります。
「この仕事は何のためにやるんだろう」
「誰にとってどんな価値があるんだろう」
「今はこれが正解と言われているけれど、本当にそうなんだろうか」
「もっと良い方法はないだろうか」
こうした問いを持てる人は、成長します。
なぜなら、理解の深さが違うからです。言われたことをそのままやるだけの人は、状況が変わると止まります。けれど、意味を理解し、問いを持ちながら覚えている人は、変化に対応できます。
これは、まさにクラスコが大切にしているDO IDEAにもつながります。課題を見つけ、問いを立て、アイデアで解決する。
その起点になるのは、常に「なぜ」と考える姿勢です。
1年目は、仕事の土台を作る最重要期間
私は入社式で、新入社員の皆さんに「この1年がとても大事だ」とも伝えました。
なぜか。1年目は、ただ知識を覚える期間ではないからです。仕事の土台を作る期間だからです。
知識や技術そのものは、後からでも学べます。
不動産の専門知識も、法務も、営業の技術も、管理の実務も、時間をかければ身につけることはできます。
ですが、もっと大事なのは、その知識を受け取る土台です。
人の話をしっかり聞く力。
自分の頭で理解しようとする力。
相手の意図を読む力。
分からないことを曖昧なままにしない力。
そして、問いを持って前に進む力。
こうした基礎力は、最初の1年で大きく差がつきます。
その後の2年目、3年目で、どこまで伸びるかは、この基礎でかなり決まります。
良い型がつけば、経験がそのまま成長になります。逆に、悪い型がつくと、何年経っても「ただ経験しただけ」になってしまう。これは本当にもったいない。
だから、1年目のうちに、目の前の仕事を雑に流さず、一つひとつ理解しながら積み上げてほしいと思っています。
早くできるようになることも大切ですが、それ以上に、「なぜそうするのか」を理解して覚えることの方が重要です。
基礎がある人は強い。 これはどの時代でも変わりません。
新人に求める、たった一つの約束
そして最後に、入社式で一番強く伝えたのが、失敗を隠さないことです。
新人が失敗するのは当たり前です。
むしろ、失敗しない方が不自然です。初めてやることばかりなのだから、分からないこともあるし、うまくいかないこともある。そこは問題ではありません。
問題なのは、失敗した時に、自分だけで抱え込んでしまうことです。
失敗は、早く分かればみんなで対処できます。
先輩も上司も、私たちも、サポートできます。
でも、失敗したことが共有されなければ助けようがありません。何とかしようと一人で抱え込み、時間が経ち、状況が悪化してからようやく報告が上がる。現場では、これが一番危ない。
だから、新入社員の皆さんには、ひとつだけ約束してほしいと伝えました。
失敗したら、すぐに「すみません、失敗しました」と言ってください。
言いづらいのは分かります。
失敗したことを認めるのは嫌なものです。怒られるかもしれない、評価が下がるかもしれない、そう思う気持ちも分かります。
ですが、そこで黙ることの方が、結果としてもっと大きな問題になります。
失敗をすぐに共有できる人は、信頼されます。
それは弱いからではありません。誠実だからです。
組織は、完璧な人で回っているのではありません。失敗や問題を早く共有し、みんなで前に進める人たちで回っています。
だから安心して、困った時は言ってほしい。分からない時は聞いてほしい。まずそこから始めてほしいと思っています。
一人ひとりの成長が、クラスコの未来を作る
クラスコグループの未来は、経営陣だけで作るものではありません。
新入社員一人ひとりの成長も、間違いなくその未来の一部です。
入社式でも伝えましたが、皆さんの成長がクラスコを作っていきます。
皆さんがどんな姿勢で学ぶか。どんな問いを持つか。どれだけ自覚を持って仕事に向き合うか。AIをどう使いこなすか。失敗した時にどう報告するか。そうした日々の積み重ねが、会社の未来を作ります。
クラスコグループのビジョンは、世界中に「人生楽しい人」と「ファン」を増やすことです。
そのためには、まず私たち自身が、価値を創る側でなければいけない。言われたことをこなすだけではなく、相手の期待を超え、課題を見つけ、より良い形を考え、行動できる人でなければいけない。
そして、それを支えるのが、創業62年の信頼であり、DO IDEAの文化であり、変化を前向きに乗りこなしていく姿勢だと思っています。
今年入社した10名が、この先どんな成長をしていくのか。
それは、会社にとって大きな楽しみです。
同時に、私たち既存メンバーにとっても責任があります。新人にただ頑張れと言うのではなく、問いを持てる環境を作ること、挑戦できる環境を作ること、失敗を早く共有できる空気を作ること。育つ側だけでなく、育てる側の覚悟も必要です。
入社式は、会社が新しい仲間を迎える日であると同時に、会社自身が改めて自分たちのあり方を問われる日でもあると思っています。
新しい仲間を迎えるたびに、私たちはどんな会社でありたいのか、何を大事にしたいのかを言葉にし直す必要がある。
今年、私が新入社員に伝えたかったのは、まさにそこです。
価値を創る人になってほしい。
時代を乗りこなせる人になってほしい。
問いを持って、自分で成長していける人になってほしい。
そして、失敗を隠さず、誠実に仕事と向き合ってほしい。
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
これから一緒に、クラスコの未来を作っていきましょう。

明日からのアクションプラン
最後に、この記事を読んでくださった方が、明日からすぐに実践できるアクションプランを5つにまとめます。
新入社員の方はもちろん、若手社員、育成に関わる方にも、そのまま使える内容です。
1. 目の前の仕事に「この仕事は何の価値を生むのか」と問いを持つ
言われたことをそのままこなすだけでは、仕事は作業で終わります。
まずは一つでいいので、任された仕事に対して「これは誰のために、どんな価値を生む仕事なのか」を考えてみてください。
この問いを持つだけで、仕事への解像度が上がります。
2. 毎日一回、AIを仕事の相棒として使ってみる
メールの下書き、議事録の整理、文章の要約、アイデア出し、タスクの整理。何でも構いません。
大事なのは、AIを特別なものとして遠ざけるのではなく、日常業務の中で使うことです。
「AIを使う習慣」を持つ人と持たない人の差は、これから確実に広がります。
3. 分からないことをそのままにせず、必ず一度は自分で整理してから聞く
「分かりません」で終わるのではなく、
「ここまでは理解したが、ここが分からない」
「自分なりにはこう考えたが、合っているか確認したい」
この形で聞くことを意識してください。
それだけで理解力も伝える力も大きく伸びます。
4. 失敗や違和感は、その日のうちに共有する
失敗をゼロにすることはできません。
ですが、失敗を早く共有することはできます。
小さな違和感や不安でも、抱え込まずにその日のうちに相談する。 この習慣が、自分を守り、チームを守ります。
5. 一日の終わりに「今日、自分は何を学び、何を次に生かすか」を3行で書く
長い日報でなくて構いません。
「今日やったこと」「気づいたこと」「次に改善すること」を3行でいいので書いてみてください。
この習慣は、経験をただの通過点にせず、自分の成長に変える力になります。



























