石川県内仲介件数 12年連続No.1

石川県内仲介件数 12年連続No.1
メニュー
小村典弘のブログ

【経営者必読】「属人経営」の終焉。AIと「企業OS」の再構築で描く不動産業界の生存戦略

【経営者必読】「属人経営」の終焉。AIと「企業OS」の再構築で描く不動産業界の生存戦略2

tatsujin sucess sumit2025

1. はじめに:なぜ、今までの「勝ちパターン」が通用しないのか

クラスコ代表の小村典弘です。

日々、多くの不動産会社の経営者様とお話しする中で、痛感していることがあります。

それは、「過去の成功体験が、今の足かせになっている」という現実です。

かつての不動産業界は、ある意味でシンプルでした。「気合と根性」「長時間労働」「カリスマ営業マンの個人の力」。これらがあれば、ある程度の売上は作れました。しかし、今、私たちが直面している市場環境は、劇的に変化しています。

少子高齢化による「深刻な採用難」、働き方改革による「労働時間の制約」、そしてデジタルネイティブである「Z世代との価値観のギャップ」

先日開催した『TATSUJIN SUCCESS SUMMIT 2025』でも、私は会場に集まった210名の経営者・実務責任者の皆様に問いかけました。

「優秀な社員が一人辞めたら、売上がガクンと落ちる。そんな恐怖と隣り合わせの経営を、いつまで続けますか?」と。

私が提唱する「DO IDEA(実行するアイデア)」の核心は、変化を嘆くことではありません。変化を先読みし、自らの手で未来を実装することです。今回は、サミットで公開した内容をベースに、これからの不動産経営に不可欠な「企業OSの再構築」「AIの実装」について、深く掘り下げてお伝えします。

2. 「人」に依存する経営からの脱却。「企業OS」という新概念

多くの不動産会社が抱える最大のボトルネック。それは「属人経営」です。

「あいつがいないと回らない」「背中を見て覚えろ」。このスタイルは、昭和・平成の遺産です。デジタルネイティブ世代にとって、マニュアルもなく、非効率な業務を精神論でカバーする環境は、ブラック企業そのものに映ります。結果、採用はできず、せっかく入った人材もすぐに離脱してしまう。

この悪循環を断ち切るために必要なのが、「企業OS(オペレーティングシステム)」のアップデートです。

PCやスマホにOSが必要なように、企業にも「人が入れ替わっても、高いパフォーマンスが出続ける基盤」が必要です。個人の能力に依存するのではなく、「誰がやっても成果が出る仕組み」を会社というハードウェアにインストールするのです。

3. Z世代に選ばれるための「6つのOS構成要素」

では、具体的に「企業OS」とは何を指すのか。サミットで私は、以下の6つの要素が不可欠であると定義しました。これらは単なる施策の羅列ではなく、互いに連動し合うエコシステムです。

① VISION(ビジョン):求心力の核

「売上目標」はビジョンではありません。それは会社都合の数字です。「社会にどんな価値を提供するのか」「なぜ我々は存在するのか」という問いに対する明確な答えが必要です。共感を生まない言葉に、人は集まりません。

② 成長(教育):企業内大学の構築

「育てる」ことを現場任せにしてはいけません。未経験者でも早期に戦力化できる「動画マニュアル」や「カリキュラム」を整備すること。私たちはこれを「企業内大学」と呼んでいます。成長の実感が持てる環境こそが、定着率を高めます。

③ 認知度(ブランド):信頼の可視化

ロゴ、看板、WEBサイト。これらがバラバラで古臭いままでは、どんなに良いサービスを持っていても「選ばれません」。デザインは装飾ではなく、「企業の信頼を担保する資産」です。

④ オフィス(環境):幸福度の向上

ただデスクが並んでいるだけの事務所は、もはや「働く場所」として機能しません。「暮らすように働ける」「行きたくなる」オフィスへの投資は、社員のエンゲージメントと生産性に直結する経営戦略です。

⑤ 働く条件・肩書き(使命):プライドの設計

単なる「営業」「事務」という呼び名ではなく、その仕事のプロフェッショナルであることを示す肩書きや、成果に見合った公正な評価制度。社員が自分の仕事に「誇り」を持てる設計が必要です。

⑥ プロモーション(発信):魅力の言語化

どれだけ良い会社でも、知られなければ存在しないのと同じです。自社のカルチャーや強みを正しく言語化し、SNSやメディアを通じて発信し続けること。「採用」とは「マーケティング」そのものです。

4. AI全社実装こそが、生産性を爆発させる起爆剤になる

企業OSという土台の上に、何を走らせるか。それが「AI(人工知能)」です。

今、「AIを使うか、使わないか」を議論している段階は終わりました。「どう全社実装して、業務プロセスそのものを破壊・再構築するか」のフェーズです。

クラスコでは、Google WorkspaceとGemini等の生成AIを連携させ、徹底的な業務削減を行いました。

その実績は、年間327件の業務改善、累計22,862時間(約6,860万円相当)の削減です。

たとえば、物件情報の入力、反響メールの一次返信、契約書のチェック。これらは人間がやるべき「創造的な仕事」ではありません。AIやBotに任せるべき「作業」です。

「AIに仕事を奪われる」のではありません。「AIに面倒な仕事を押し付け、人間はもっと付加価値の高い仕事(オーナー提案や入居者へのホスピタリティ)に集中する」のです。

今回のサミット後のアンケートでも、94%以上の参加者が「AI活用の重要性を痛感した」と回答しています。これは、業界全体が「テクノロジーによる武装」なしには生き残れないと気づき始めた証拠です。

5. 【実証】OSをアップデートし、劇的成果を上げた成功法則

理論だけではありません。実際に「企業OS」と「デザイン」「仕組み」を取り入れ、驚くべきV字回復や成長を遂げた企業が全国に存在します。サミットで表彰された5社の事例から、共通する法則が見えてきました。

  • 株式会社きめたハウジング様(東京):「きめたで決めた!」という徹底したブランディングで、売上130%・反響数1.5倍を達成。採用応募は25名超に。
  • 有限会社朝日住宅様(島根):ビジョン刷新と店舗デザイン統一により、社員の意識が変革。ネガティブ離職ゼロを実現し、管理受託も増加。
  • 株式会社アルフハウジング様(岐阜):「八百屋からスーパーマーケットへ(個人の勘から組織の仕組みへ)」というスローガンのもと、離職率を69%から0%へ改善。管理戸数は15倍に。

彼らに共通する成功の「5つの法則」は以下の通りです。

  1. 方向性の明確化:経営者の迷いを捨て、ビジョンを一本化する。
  2. 価値の創造:売る前に、選ばれるための「武器(商品・サービス)」を作る。
  3. 徹底した「見える化」:価値をデザインの力で可視化し、伝わる速度を上げる。
  4. 仕組み(OS)への転換:誰がやっても成果が出るフローを構築する。
  5. 採用と育成への投資:人を集め、育て、定着させるサイクルを作る。

このサイクルが回り始めると、経営は驚くほど楽になり、かつ強固になります。

6. 今すぐ経営者が着手すべき「3つのDO IDEA」

この記事を読んでいる経営者の皆様に、明日から実行していただきたいアクションプランを提示します。

Action 01:自社の「見え方」を客観視する

求職者のつもりで、自社のホームページ、店舗の外観、SNSを見てください。「ここで働きたい」と心から思えますか?もし少しでも「古臭い」「魅力が伝わらない」と感じたら、リブランディング(VIの刷新)が急務です。見た目は経営数値に直結します。

Action 02:属人化業務の「棚卸し」とAI化

社内で「あの人しかできない仕事」をリストアップしてください。そして、それをマニュアル化、あるいはAIに置き換えられないか検討してください。まずは、ChatGPTやGeminiを全社員が触れる環境を作るだけでも、意識は変わります。

Action 03:他社の成功事例を「TTP(徹底的にパクる)」する

独自性も大切ですが、スピードの速い現代では、既に成功しているモデルを取り入れるのが最短ルートです。TATSUJINのようなネットワークに参加し、全国の成功事例(=正解)を自社にインストールしてください。考える時間を、行動する時間に変えるのです。

7. まとめ:変化を恐れず、未来のスタンダードを創れ

不動産業界は今、大きな分岐点に立っています。

人口減少、テクノロジーの進化、働き方の多様化。

これらを「脅威」と捉えるか、「変革のチャンス」と捉えるかで、5年後の会社の姿は決まります。

私は確信しています。

「テクノロジー(AI)」と「デザイン(ブランディング)」、そして「仕組み(企業OS)」を融合させた企業だけが、これからの時代をリードできると。

クラスコは、自ら実験台となり、失敗も成功も含めたすべてのノウハウを業界に公開し続けます。なぜなら、不動産業界全体がもっと魅力的で、働きがいのある場所に変わることが、私たちの願いだからです。

まだ遅くはありません。今ここから、あなたの会社のOSをアップデートしましょう。

共に、不動産業界の未来を創り上げていきましょう。


 

Share Button

ARCHIVE